「魔鏡発見!!」と、久しぶりに考古学の元気なニュースが飛び込んできた。
3世紀後半から4世紀の東之宮古墳(愛知県犬山市)出土の三角縁神獣鏡を3Dプリンターで再現し、日を当てる実験をしたところ、鏡の裏面を映し出す魔鏡だったことがわかったと、京都国立博物館が1月29日に発表した。
しかし残念なことに、厳密に言うと、これは魔鏡ではない。鏡の裏に紋様を施した銅鏡なら、ほとんどの鏡で同じ現象をみることは可能だからだ。薄くなるまで磨き込めば、鏡胎の厚さの差から目に見えないくぼみが生まれ、光が収斂し、鏡背面の紋様が映し出される。本物の魔鏡は、仏像やマリア像、十字架など、背面とは異なる紋様が浮かび上がるものなのだ。だから、発表は少しはしゃぎすぎではなかろうか。

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