中東の過激派組織「イスラム国」による人質事件は、邦人2人とヨルダン人パイロットの殺害映像がインターネットで公開されるという衝撃的な展開となった。日本政府の人質救出に向けての努力を評価するかどうかは別として、結果的に安倍政権は人質を救うことはできなかった。ただ、この問題を日本国内の政局的な視点だけからとらえると、安倍政権にとって事件は決して不利には働かなかった。
上昇した内閣支持率
後藤健二さんやヨルダン人パイロットの殺害映像が公開された後の2月12日、国会では衆参両院の本会議で政府4演説が行われた。安倍晋三首相の施政方針演説が終わり、続いて岸田文雄外相が外交演説の冒頭で、「イスラム国」事件に言及すると、野党席からヤジが飛んだ。

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