初来日直前:インドネシア「ジョコウィ大統領」の外交政策

執筆者:川村晃一 2015年3月20日

 昨年10月にインドネシアの大統領に就任したジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)が間もなく初来日する。昨年8月に当選が決まって以来、日本側は何度も早期の訪日を要請してきたが、政権発足後5カ月たってそれがようやく実現する格好だ。

 今回の来日で議題にあげられるテーマは、まだ政府内で調整が続けられていて明らかにされていない。まずはジョコウィ政権の全体的な外交方針を確認しながら、今後の日本とインドネシアの関係を考えてみたい。

 

ユドヨノ外交の否定

 インドネシアは独立以来、外交力の高い国である。たとえば1955年のアジア・アフリカ会議は、初代大統領スカルノが主導してインドネシアのバンドゥンで開催された。第2代スハルト大統領は、1967年に発足したASEAN(東南アジア諸国連合)の事務局をジャカルタに誘致するなど、域内最大国としてASEANの地域協力を主導し、インドネシアを「ASEANの盟主」の地位に向上させた。

カテゴリ: 政治 軍事・防衛
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執筆者プロフィール
川村晃一(かわむらこういち) 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所 海外調査員(インドネシア・ジャカルタ)。1970年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒、ジョージ・ワシントン大学大学院国際関係学研究科修了。1996年アジア経済研究所入所。2002年から04年までインドネシア国立ガジャマダ大学アジア太平洋研究センター客員研究員。2024年からインドネシア国家研究イノベーション庁(BRIN)客員研究員。主な著作に、『教養の東南アジア現代史』(ミネルヴァ書房、共編著)、『2019年インドネシアの選挙-深まる社会の分断とジョコウィの再選』(アジア経済研究所、編著)、『新興民主主義大国インドネシア-ユドヨノ政権の10年とジョコウィ大統領の誕生』(アジア経済研究所、編著)などがある。
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