サイドミラーがなくても安い車を、一万円を切る電子レンジを、新興国の「中流層」が強烈に希求している。「低価格化」の波が世界を襲う。 二〇〇八年の年明けから間もない一月十日。世界の自動車業界を「タタ旋風」が襲った。インドの有力財閥、タタグループの自動車メーカー、タタ自動車が小売り価格一台十万ルピー(約二十八万円)の低価格乗用車「ナノ」の実物を公開、九月にも発売する意向を表明したからだ。通常の意味での乗用車としては世界最安値といって間違いない。日本メーカーが低価格を売り物にする軽自動車でも、最安値モデルで一台六十万円はすることを考えれば、ナノの安さは驚異的だ。

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