ロシアのメドベージェフ大統領が国賓としてフランスを訪問したのは三月一日のことだった。私たちが待ちかまえる中、エリゼ宮(仏大統領府)の前庭に敷かれた赤絨毯を歩み来て、サルコジ大統領と大げさな身ぶりの握手を交わした。大挙してやってきたロシア人記者団と屈強な衛兵らに囲まれ、身長百六十センチ台前半といわれる二人は、いつもよりさらに小さく見えた。 宮殿内で共同記者会見に臨んだ両首脳は「フランスにとってロシアは偉大なる友だ」「二十世紀に存在した両国間の問題は今や消え去った」と、互いに持ち上げ合った。報道陣から質問が飛ぶ。イラン核開発問題への対応、エネルギー供給問題といった定番のテーマ以上に報道陣が関心を抱いたのは、フランスのミストラル級強襲揚陸艦の売却交渉の進展ぶりについてだった。

「フォーサイト」は、月額800円のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。
フォーサイト会員の方はここからログイン