国際論壇レビュー

「独仏の接近」はイラク攻撃を止めるか

 イラクでの査察についての報告が国連安全保障理事会で行なわれ、それに引き続いて、ブッシュ米大統領の一般教書演説があった。二月五日には、安全保障理事会でパウエル米国務長官からイラクの査察協力についての報告があり、イラク査察問題は、いよいよ最終局面に向かいつつある。新たな決議が作成されるか。サダム・フセインは、どのような反応を示すのか。武力行使が行なわれるとすれば、いつか。これらの疑問は、数週間のうちに明らかになるのであろう。 国際論壇は、いうまでもなく、このイラク問題が他を圧している。ただし、武力攻撃の可否などや、その論理については、論点はおおむね出尽くした観がある。この一カ月で目立った論点は、アメリカとヨーロッパの関係であった。本稿ではこの問題を中心に検討してみよう。

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執筆者プロフィール
田中明彦(たなかあきひこ) 1954年、埼玉県生まれ。東京大学教養学部卒業。マサチューセッツ工科大学大学院博士課程修了(Ph.D. 政治学)。東京大学東洋文化研究所教授、東京大学副学長、国際協力機構(JICA)理事長、政策研究大学院大学学長、三極委員会アジア太平洋地域議長などを経て、2022年4月より再び国際協力機構(JICA)理事長に就任。著書に『新しい「中世」―21世紀の世界システム』(サントリー学芸賞受賞)、『ワード・ポリティクス―グローバリゼーションの中の日本外交』(読売・吉野作造賞)、『アジアのなかの日本』、『ポスト・クライシスの世界―新多極時代を動かすパワー原理』など。
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