政府やメガバンクが必死になって食い止めようとあがいている東京電力の「倒産」。福島第1原子力発電所の事故に対する電力業界ぐるみの損害賠償策を作っても、未曾有の事故直後に“敵前逃亡”した社長のクビをすげ替えても、失われた信用は回復せず、資本の論理によって、この会社が市場から退場を迫られるのは避けられない。賠償策決定後も、社長更迭を明らかにした決算発表後も、東電の株価下落は歯止めがかからず、社債スプレッドなど信用リスクも高まっている。存続理由が「賠償の履行」に凝縮される異常な状況下に置かれた時点で、その会社の命脈はすでに絶たれているのである。

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