九州電力「迷走」に拍車をかける「ワンマン会長」の跳梁

執筆者:安西巧 2011年12月7日
タグ: 中国 日本
エリア: アジア

 電力会社の呆れた体質がまた明らかになった。玄海原子力発電所(佐賀県玄海町)2、3号機の再稼働を巡る「やらせメール」問題でいまだに立ち往生している九州電力。真相究明のために自ら立ち上げた第三者委員会の調査結果を無視しただけでなく、1度は引責辞任を国会で表明した社長がその後辞意を撤回。所管大臣と対立し、地元住民やメディアの批判が渦巻いている。原発再稼働のメドは立たず、代替燃料費の急増で赤字が日に日に膨らむ。社内の動揺は広がり、取引金融機関も距離を置き始めた。混乱の中心にいるのは地元財界トップの座にあるワンマン会長と“股肱之臣”である社長。保身とメンツにこだわる彼らの頑な姿勢が会社を空中分解の瀬戸際に追い込んでいる。

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執筆者プロフィール
安西巧(あんざいたくみ) ジャーナリスト 1959年福岡県北九州市生まれ。1983年早稲田大学政治経済学部政治学科卒、日本経済新聞社入社。主に企業取材の第一線で記者活動。広島支局長、編集委員などを歴任し、2024年フリーに。フォーサイトでは「杜耕次」のペンネームでも執筆。著書に『経団連 落日の財界総本山』『広島はすごい』『マツダとカープ 松田ファミリーの100年史』(以上、新潮社)、『さらば国策産業 電力改革450日の迷走』『ソニー&松下 失われたDNA』『西武争奪 資産2兆円をめぐる攻防』『歴史に学ぶ プロ野球16球団拡大構想』(以上、日本経済新聞出版)など。
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