新潟県知事は本当に傲岸不遜なのか

執筆者:安西巧 2013年7月19日
エリア: アジア
 東電の対応に泉田知事は怒りをあらわにした (C)時事
東電の対応に泉田知事は怒りをあらわにした (C)時事

 首相によるプラント輸出のセールス行脚に電力各社の再稼働申請ラッシュ――。

 東京電力福島第1原子力発電所の事故を機に「見直し」が進むはずだった原発推進政策が、再び“国策”の様相を帯び始めている。

 きっかけは言うまでもなく、昨年12月の政権交代。アベノミクス効果で早々に株価を押し上げた安倍晋三首相(58)は、高支持率を背景に7月21日投票の参院選後、こうした「原発逆コース」路線を一段と鮮明にする公算が大きい。

 だが、原発の安全を担う規制機関は体制に不安が伴う。原子力規制委員会は独立性の強い『3条委員会』になったとはいえ、事務局として支える原子力規制庁のスタッフは、福島事故に際して“使い物にならなかった”あの原子力安全・保安院や原子力安全委員会、文部科学省環境モニタリング部門などからの横滑りなのである。自前の人材育成に力を注ぐとはいっても、長年染み付いた馴れ合いのカルチャーを180度変えるのは至難の業だ。安倍政権の閣僚は「安全が確認された原発から再稼働」と唱えるが、名称が変わっただけで人員は変わらない組織が確認する「安全」に、果たしてどんな意味があるのか。

カテゴリ: 政治 経済・ビジネス
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執筆者プロフィール
安西巧(あんざいたくみ) ジャーナリスト 1959年福岡県北九州市生まれ。1983年早稲田大学政治経済学部政治学科卒、日本経済新聞社入社。主に企業取材の第一線で記者活動。広島支局長、編集委員などを歴任し、2024年フリーに。フォーサイトでは「杜耕次」のペンネームでも執筆。著書に『経団連 落日の財界総本山』『広島はすごい』『マツダとカープ 松田ファミリーの100年史』(以上、新潮社)、『さらば国策産業 電力改革450日の迷走』『ソニー&松下 失われたDNA』『西武争奪 資産2兆円をめぐる攻防』『歴史に学ぶ プロ野球16球団拡大構想』(以上、日本経済新聞出版)など。
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