投資事業組合にカネを吸引する「三重の秘匿性」

執筆者:鷲尾香一 2006年3月号
タグ: 日本

ライブドアが錬金術に用いた投資事業組合は、実は多くの企業や金持ちが普通に使う運用方法でもあった。その何が問題なのか。 東京地検特捜部が、堀江貴文前社長をはじめとするライブドアの幹部を「偽計、風説の流布」容疑で起訴したのは二月十三日。その捜査の過程で「投資事業組合」を使ったからくりが解明されつつある。 事件の端緒となったのは、ライブドアによる出版社「マネーライフ」買収だった。ライブドアは二〇〇四年十月、関連会社のバリュークリックジャパン(現・ライブドアマーケティング)がマネーライフを株式交換で買収すると発表したが、実際には同年六月、実質的にライブドアの支配下にあったファンド「VLMA2号投資事業組合」がすでに現金で買収していた。この投資事業組合がライブドアの実質的支配下にあったことは、運用資金の大半をライブドアが出していたことに加え、資金を運用していたバリュー・リンクの大西洋社長がライブドアの元役員だったことからも明らかだ。

カテゴリ: 経済・ビジネス
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執筆者プロフィール
鷲尾香一(わしおこういち) 金融ジャーナリスト。本名は鈴木透。元ロイター通信編集委員。外国為替、債券、短期金融、株式の各市場を担当後、財務省、経済産業省、国土交通省、金融庁、検察庁、日本銀行、東京証券取引所などを担当。マクロ経済政策から企業ニュース、政治問題から社会問題まで様々な分野で取材・執筆活動を行っている。
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