悪食いとわず突き進むネット最古参「熊谷正寿」

執筆者:安西巧 2006年3月号
タグ: 日本

生き馬の目を抜くネット業界でしたたかに生き残ってきた男は、いま金融ビジネスに手を広げる。果たしてその行方は――。「一部の人がIT(情報技術)業界全体の問題に扱おうとしている。個人的に大変憂慮している」 ライブドアへの強制捜査に狼狽した投資家が株式市場に殺到、東京証券取引所が全面的な売買停止という未曾有の大混乱に陥った一月十八日。人気が高いと評判の自らのブログに、敢えてこんな書き込みをした経営者がいた。GMOインターネット社長の熊谷正寿(四二)である。 ライブドア社長(一月二十四日辞任)堀江貴文(三三)が逮捕されるのは五日後。この時点では容疑も不明確で自社への市場の反応も読み切れない。賢明な経営者なら十中八九、静観を決め込むタイミングだ。

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執筆者プロフィール
安西巧(あんざいたくみ) ジャーナリスト 1959年福岡県北九州市生まれ。1983年早稲田大学政治経済学部政治学科卒、日本経済新聞社入社。主に企業取材の第一線で記者活動。広島支局長、編集委員などを歴任し、2024年フリーに。フォーサイトでは「杜耕次」のペンネームでも執筆。著書に『経団連 落日の財界総本山』『広島はすごい』『マツダとカープ 松田ファミリーの100年史』(以上、新潮社)、『さらば国策産業 電力改革450日の迷走』『ソニー&松下 失われたDNA』『西武争奪 資産2兆円をめぐる攻防』『歴史に学ぶ プロ野球16球団拡大構想』(以上、日本経済新聞出版)など。
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