量的緩和解除が引き金をひく「生保再編」第二幕

執筆者:鷲尾香一 2006年4月号
タグ: 日銀 日本
エリア: アジア

超低金利という長い“冬の時代”に雌伏を強いられた各社は金利上昇を待ち望む。だが、それはさらなる競争の激化という“春の嵐”を招く。「真の意味での正常化は、ゼロ金利政策の解除にあると考えている。できる限り早期にゼロ金利政策が解除されることを期待したい」 三月九日に日銀が金融の量的緩和政策の解除を決定したことを受け、生命保険協会の横山進一会長(住友生命社長)は早期の利上げを要望するコメントを発表した。 日銀が景気回復のために一九九九年から始めた「ゼロ金利政策」と二〇〇一年から開始した「量的緩和政策」は、生保の経営に大きなダメージを与えた。資金の運用利回りが保険契約者に約束した利回り(予定利率)を下回る「逆ザヤ」が続き、生保各社はその穴埋めのため、収益の投入を余儀なくされた。低い予定利率と低配当の保険商品が顧客を失う一方で低保険料化も進む悪循環の中、九〇年代末からは体力を失った生保の合併や経営破綻が相次いだ。

カテゴリ: 経済・ビジネス 政治
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執筆者プロフィール
鷲尾香一(わしおこういち) 金融ジャーナリスト。本名は鈴木透。元ロイター通信編集委員。外国為替、債券、短期金融、株式の各市場を担当後、財務省、経済産業省、国土交通省、金融庁、検察庁、日本銀行、東京証券取引所などを担当。マクロ経済政策から企業ニュース、政治問題から社会問題まで様々な分野で取材・執筆活動を行っている。
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