「生産現場」軽視が招いたモノ作りの危機

執筆者:安西巧 2006年11月号
タグ: 中国 日本

「異物混入」と「偽装請負」は、一本の線でつながっている。ソニーの危機も労働力軽視にその根源があった。 モノ作りの危機が言われて久しい。バブル後の「失われた十五年」の間に日本の製造業は競争力低下を余儀なくされ、代わって中国が「世界の工場」の看板を確立した。ただ、自動車や最先端のエレクトロニクス分野などでは、日本の国力を維持する最後の砦とばかりにメーカー各社が血のにじむようなリストラを繰り返して、国内の生産拠点を死守した。その強固な意志は半ば実を結び、国内に工場は残ったものの、その過程で泥縄式に施した“弥縫策”がここに来て綻びを見せ始めている。

カテゴリ: 経済・ビジネス
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執筆者プロフィール
安西巧(あんざいたくみ) ジャーナリスト 1959年福岡県北九州市生まれ。1983年早稲田大学政治経済学部政治学科卒、日本経済新聞社入社。主に企業取材の第一線で記者活動。広島支局長、編集委員などを歴任し、2024年フリーに。フォーサイトでは「杜耕次」のペンネームでも執筆。著書に『経団連 落日の財界総本山』『広島はすごい』『マツダとカープ 松田ファミリーの100年史』(以上、新潮社)、『さらば国策産業 電力改革450日の迷走』『ソニー&松下 失われたDNA』『西武争奪 資産2兆円をめぐる攻防』『歴史に学ぶ プロ野球16球団拡大構想』(以上、日本経済新聞出版)など。
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