七月の参院選で歴史的大敗を喫した安倍晋三首相は八月二十七日、政権の命運を賭けて内閣改造を断行した。改造人事で起用する閣僚の身体検査(スキャンダルがないかどうか、人事の事前に行なう身辺調査)をするため、安倍首相の政務秘書官が首相の外遊に同行しないのが異例なら、参院選から改造まで約一カ月かけたのも異例。首相がいかに念を入れていたかが分かる。それだけに、新閣僚の顔ぶれには、党内融和を図り、挙党態勢を敷いたという点で、玄人筋をうならせるものはあった。 自民党内では、この内閣改造を境にして反安倍勢力の動きがぴたりと止んだ。その背景には、官房長官に就任した与謝野馨氏の存在がある。

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