鰆(さわら)という魚は、魚へんに春と書く。しかし岡山市の割烹桃井の店主に聞くと、本当の食べ頃は冬なのだそうだ。春になると、鰆は産卵のために瀬戸内海に戻ってくる。でも食べるには、寒い時期に隠岐の島あたりで採れるものが最高であるとのこと。
などといった薀蓄を聞きながら、出された旬の鰆の刺身はまことに見事なものであった。
「鰆をおろすのは難しいんです。若い頃に先輩のやり方を見ながら、自分なりにずいぶん工夫したものです。もう40年以上前のことになりますけどね」
早い時間に入ったため、店内の客は筆者1人きりであった。お蔭でカウンター席に陣取り、店主を独り占めにすることができた。鰆は脂がのっていて、まことに美味であった。
と、その場でiPadで写真をパチリ。でもって、ただちにフェイスブックに掲載。こんなコメントをつけてみた。
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