国際論壇レビュー
トルコ「強権政治」終焉とギリシャ発「欧州不安」で深まる混迷
のちに世界がこの6月を振り返ったとき、トルコの総選挙は大きな意味を持つことになるかもしれない。
ギリシャ金融支援交渉の混迷もあった(帰結はまだ見えない)。米議会でオバマ大統領に貿易交渉の大幅な権限を与えるTPA(貿易促進権限)法案が可決され、米国のアジア重視策で経済面のカギを握る環太平洋連携協定(TPP)交渉妥結への大きなハードルを乗り越えた。これらも大きなニュースである。
しかし、有能な指導者として登場しながら、13年にわたる政権維持を経て「独裁者」としての地位固めを始めたエルドアン大統領に対し、トルコ国民が84%の高い投票率できっぱりとノーを突き付けたことこそ、世界史的意義がある。そう説くのは、米紙『ワシントン・ポスト』のコラムニスト、デビッド・イグナティウスである。【Turkey’s resilient democracy, The Washington Post, June 10】
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