ローマ法王フランシスコ(本名・ホルヘ・マリオ・ベルゴリオ)は、2013年3月のコンクラーベ(法王選出会議)で、退位したベネディクト16世の後任法王に選ばれて以来、バチカンの改革を掲げ、高い人気を誇る。それだけに、リベラル派からは過剰ともいえる期待が寄せられ、保守派からは反発の声も上がる。
そうした中、フランシスコは、カトリック教会の指針を示す「回勅」を6月18日に発表した。主題は環境問題についてだが、それに関連づけて社会、経済など幅広い問題に言及している。受胎調整への反対など「性と生」の問題では、カトリック教会の伝統的な考えに変更を加えない方針を鮮明に打ち出す一方、格差社会の解消を求めて金融界などを厳しく批判する。「保守とリベラルのどちらが真のフランシスコなのか」という戸惑いを生む一方、「教会の教え堅持と、社会正義を求めることでバランスを取るというフランシスコらしいもの」(バチカン関係者)と、回勅で示された二面性を肯定する意見もある。
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