2015年ラグビーワールドカップでベスト8入りこそ逃したものの、日本は南アフリカを破り、歴史的快挙と称賛された。大会出場チームの中で最も体の小さな日本が、優勝候補の強豪チームを打ち倒したのだ。しかも、これまでワールドカップで1勝しかしていない日本が、である。
日本のラグビーの歴史は、体の大きな相手といかに闘うか、その研鑽工夫の日々だった。大西鐵之祐(元ラグビー日本代表監督、早稲田大学ラグビー部監督)は「展開、接近、連続」の理論を打ち立て、これを実践し、昭和43年(1968)年にラグビー王国ニュージーランドに遠征した際、オールブラックスジュニアに23対19で勝利し、世間をあっと言わせた。「ジュニア」とはいえ、ニュージーランドにとっては、屈辱的な出来事だった。さらに3年後、来日したイングランド代表を、3対6のスコアまで追い詰めた。
現ラグビー日本ヘッドコーチのエディ・ジョーンズ(母は日系アメリカ人2世)も、大西鐵之祐と同じ宿題に取り組み、南アフリカ戦でその成果を見せたのである。

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