研究者集団を預かっていて、また私自身研究者としてのキャリアを歩んできて、最近つくづく思うことがある。それは、多彩多様で密度の濃い経験を積むことの大切さだ。
経験値の小さい人間はどうしても思考の幅が狭く、汎用性に劣る。若いときに埋め込んだ知識や理論の芽がないと、あとからでは吸収力がつかないものだ。修行が薄くて引出しが少ない人は、新しい知識を記憶することすら段々と難しくなる。だからますます知識量が細り、辛うじて残った知識も古くなっていく(私自身これが怖い)。研究者を含め有識者に求められるのは、まずなにより豊富な知識である。知識量の多い研究者は研究テーマの多い人であり、研究トピックが少ない人は概して知識量も少ない。
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