サイバーウォー・クレムリン
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中露が主張する「サイバー主権」の実態
これまでの小欄で紹介してきたように、ロシア政府は、西側が情報戦によって「カラー革命」などの内乱を旧ソ連諸国や中東の権威主義的国家で引き起こし、「形を変えた侵略」を仕掛けているとの認識を抱いてきた。
このような一種の陰謀論的世界観に拍車をかけたのが、2014年2月のウクライナ政変である。これによってロシアにとって御し易いヤヌコーヴィチ政権(一般的に「親露政権」と呼ばれるが、利権次第でロシア側にもつくというのが実際であった)が倒れ、反露政権がウクライナに成立したことは、ロシア側の目には「カラー革命」の最新バージョンと映った。そして、ロシア政府は、このような「戦争に見えない戦争」あるいは「形を変えた侵略」がロシアやその友好諸国にも及ぶ可能性があるとの主張をさらに強化するようになっていった。
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