前回、金本位制が自動調整機能を持つというヒュームの「物価・正貨流出入メカニズム」を紹介した。
しかし、このモデルは現実とはかけ離れている。実際には、金本位制はもう少し複雑な形で機能した。
第1に、ヒュームのモデルは、マネーとして金(きん)のみが流通している世界を考えているが、現実には銀行券も流通している。第2に、このモデルでは国際的な決済は金を移動することでなされるとしているが、実際には国際的な資本移動がある。このため、国から国へ運ぶ地金を積み込んだ船で外海が埋まる、というようなことにはならなかったのである。
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