創業以来の「企業風土」に根付く「神戸製鋼」負の伝統

執筆者:安西巧 2017年10月27日
エリア: アジア
報道陣から質問を受ける神戸製鋼所の梅原尚人副社長(中央)。不正を「企業風土の問題」と答えてしまった (C)時事

 

 神戸製鋼所の品質データ改竄(ざん)問題が日を追うごとに深刻さを増している。第1報は10月8日。同社は都内で緊急の記者会見を開き、アルミ・銅製部材の強度や寸法などのデータを偽装していたと公表。当初対象製品の出荷先は約200社としていたが、1週間も経たない13日に、会長兼社長の川崎博也(63)が自ら会見で、ステンレス鋼や特殊鋼でも不正行為を確認したと明らかにした。祖業の鉄鋼事業への波及で出荷先は約500社に膨らみ、次々に表面化する同社の杜撰な体質に、取引先企業の間では疑心暗鬼が増幅。疑いの眼は海を越え、欧州航空安全機関(EASA)や米司法省など、欧米当局からも注がれている。

カテゴリ: 経済・ビジネス 社会
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執筆者プロフィール
安西巧(あんざいたくみ) ジャーナリスト 1959年福岡県北九州市生まれ。1983年早稲田大学政治経済学部政治学科卒、日本経済新聞社入社。主に企業取材の第一線で記者活動。広島支局長、編集委員などを歴任し、2024年フリーに。フォーサイトでは「杜耕次」のペンネームでも執筆。著書に『経団連 落日の財界総本山』『広島はすごい』『マツダとカープ 松田ファミリーの100年史』(以上、新潮社)、『さらば国策産業 電力改革450日の迷走』『ソニー&松下 失われたDNA』『西武争奪 資産2兆円をめぐる攻防』『歴史に学ぶ プロ野球16球団拡大構想』(以上、日本経済新聞出版)など。
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