「平和構築」最前線を考える
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縮小と変質が進む「国連PKO」に日本はどう取り組むべきか

2016年6月、南スーダンでの国連PKOで活動する陸上自衛隊の施設部隊[防衛省提供](C)時事
防衛省のイラク日報隠蔽問題が、話題になっている。日報については、すでに南スーダンPKO(国連平和維持活動)派遣(2012年~2017年)の際に問題になった。組織的な問題も背景にあるのは確かだろう。しかしより根本的な問題は、世界の現実と日本の法制度の間の、覆い隠すことができないギャップだ。
イラク派遣(2003年~2009年)時の「イラク特措法」はすでに失効しているが、1992年に成立した「PKO協力法」は今も有効だ。しかし南スーダン派遣時に明らかになったように、この法律は日本独自の制約を加えているだけでなく、そもそも冷戦時代の国連PKOをモデルにしたという点で、現実と大きく乖離している。それは日本の憲法解釈問題だけではない。日本人のPKOに対する理解そのものが、現代世界の現実と乖離しているのである。

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