「人手不足」と外国人 (27)

「幸せの国」ブータン留学生の「不幸せ」な実態(6・了)在ブータン日本大使館の回答

執筆者:出井康博 2018年8月28日
エリア: アジア
ブータン労働人材省のホームページ。さらに犠牲者を増やすような日本留学プログラムが掲載されている

 

 経費支弁能力のないブータン人が留学ビザを得ている現状について、ビザを発給する立場の在ブータン日本大使館はどう考えているのか。以下、同大使館から書面で届いた答えである。

〈ブータンに限らず、留学生が多額の借金をして、その借金を返すために、留学生に対して包括的に認められている週28時間以内の資格外活動許可の範囲を超えてアルバイト等に従事している場合は、憂慮すべき問題です。これが問題になっている国の日本の在外公館では、就労目的で日本に留学しないように政府への働きかけや広報を行っていると承知しております。当館としても、当然のことながら、ブータンからの留学が適正に実施されることが重要であると考えておりますところ、当国からの留学生が急増している現状等を踏まえ、本省とも協議しているところであり、できる限り情報収集に努めると共に、今後ともブータン政府と協議していく考えです。6月に当国を訪問した河野(太郎)外務大臣は、(ダムチョ・)ドルジ外相との間で、留学生が効果的に本来の留学目的を達成できるよう両国政府で協力することで一致しています〉

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執筆者プロフィール
出井康博(いでいやすひろ) 1965年、岡山県生れ。ジャーナリスト。早稲田大学政治経済学部卒。英字紙『日経ウィークリー』記者、米国黒人問題専門のシンクタンク「政治経済研究ジョイント・センター」(ワシントンDC)を経てフリーに。著書に、本サイト連載を大幅加筆した『ルポ ニッポン絶望工場」(講談社+α新書)、『長寿大国の虚構 外国人介護士の現場を追う』(新潮社)、『松下政経塾とは何か』(新潮新書)など。最新刊は『移民クライシス 偽装留学生、奴隷労働の最前線』(角川新書)
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