暴走の果てに白旗「日立」英原発「3兆円」中西会長の責任

執筆者:安西巧 2018年12月21日
中西会長の責任は重い(C)時事

 

 日立製作所が建設費高騰で隘路に嵌っていた英国原発プロジェクトに対し、ついに白旗を掲げた。

 同社会長の中西宏明(72)は12月17日、経団連会長としての定例記者会見で、「民間の投資対象としてはもう限界だと英国政府に伝えた」と説明。2019年1月中に現行の枠組み変更などについて交渉がまとまらなければ撤退を検討する考えを明らかにした。

 世界的な原発衰退が進む中、日立は活路を英国に求めて巨額の資金をプロジェクトに投じてきたが、このまま撤退となれば、約2700億円に上る現地子会社の資産が雲散霧消する。社長在任当時から先頭に立って計画を進めてきた中西の責任問題が浮上することは避けられない。

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執筆者プロフィール
安西巧(あんざいたくみ) ジャーナリスト 1959年福岡県北九州市生まれ。1983年早稲田大学政治経済学部政治学科卒、日本経済新聞社入社。主に企業取材の第一線で記者活動。広島支局長、編集委員などを歴任し、2024年フリーに。フォーサイトでは「杜耕次」のペンネームでも執筆。著書に『経団連 落日の財界総本山』『広島はすごい』『マツダとカープ 松田ファミリーの100年史』(以上、新潮社)、『さらば国策産業 電力改革450日の迷走』『ソニー&松下 失われたDNA』『西武争奪 資産2兆円をめぐる攻防』『歴史に学ぶ プロ野球16球団拡大構想』(以上、日本経済新聞出版)など。
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