「君主号」の世界史 (25)

「大日本帝国」の誕生

執筆者:岡本隆司 2019年3月9日
エリア: アジア
今上天皇のご譲位は、「天皇」号を復活させた光格天皇(在位1780~1817)以来のこととなる

 

 日本人全般の知識水準は、江戸時代に大きく向上した。「泰平の眠り」を貪っていた、という近世とは、そうした時代でもある。まず漢学の普及から漢語の素養がひろがって、知識人が漢字・漢文を駆使して思考、表現できるようになった。そして一般の識字率も上昇してゆく。

 そんな漢学に継いで勃興したのは蘭学であり、日本人はそこから西洋の学術・事物を摂取しはじめた。そしてそれとほぼ並行して、自国の伝統文化を発見し、研究する国学も、急速に発展したのである。

カテゴリ: 政治 社会 カルチャー
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執筆者プロフィール
岡本隆司(おかもとたかし) 京都府立大学文学部教授。1965年、京都市生まれ。京都大学大学院文学研究科博士後期課程満期退学。博士(文学)。専門は近代アジア史。2000年に『近代中国と海関』(名古屋大学出版会)で大平正芳記念賞、2005年に『属国と自主のあいだ 近代清韓関係と東アジアの命運』(名古屋大学出版会)でサントリー学芸賞(政治・経済部門)、2017年に『中国の誕生 東アジアの近代外交と国家形成』で樫山純三賞・アジア太平洋賞特別賞をそれぞれ受賞。著書に『李鴻章 東アジアの近代』(岩波新書)、『近代中国史』(ちくま新書)、『中国の論理 歴史から解き明かす』(中公新書)、『叢書東アジアの近現代史 第1巻 清朝の興亡と中華のゆくえ 朝鮮出兵から日露戦争へ』(講談社)、『悪党たちの中華帝国』(新潮選書)など多数。
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