「トランプ」「プーチン」「オルバン」の台頭:世界の潮流を「模倣」で読み解く(下)

執筆者:国末憲人 2020年4月3日
エリア: ヨーロッパ
左上に見えるのが、ロシアの中枢クレムリン(筆者撮影、以下同)

 

 ソ連崩壊後のロシアが置かれた立場は、(上)で指摘したような旧東欧諸国と重なる面が多い。社会主義の夢破れ、疲弊した国家を立て直すために、西側モデルの「模倣」を余儀なくされたからである。

当初は開放的な指導者

 こうした状況を反転させ、「模倣」を断ち切るかのように振る舞うプーチンは、オルバンと共通する役どころを演じている。

 ただ、人口1000万足らずのハンガリーとは異なり、1億5000万弱の人口を有するロシアは、核兵器保有国、国連常任理事国であり、かつて米国と対等にやり合った大国である。その指導者の戦略も対応も、おのずから異なってくるだろう。

カテゴリ: 政治
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執筆者プロフィール
国末憲人(くにすえのりと) 東京大学先端科学技術研究センター特任教授 1963年岡山県生まれ。85年大阪大学卒業。87年パリ第2大学新聞研究所を中退し朝日新聞社に入社。パリ支局長、論説委員、GLOBE編集長、朝日新聞ヨーロッパ総局長などを歴任した。2024年1月より現職。著書に『ロシア・ウクライナ戦争 近景と遠景』(岩波書店)、『ポピュリズム化する世界』(プレジデント社)、『自爆テロリストの正体』『サルコジ』『ミシュラン 三つ星と世界戦略』(いずれも新潮社)、『イラク戦争の深淵』『ポピュリズムに蝕まれるフランス』『巨大「実験国家」EUは生き残れるのか?』(いずれも草思社)、『ユネスコ「無形文化遺産」』(平凡社)、『テロリストの誕生 イスラム過激派テロの虚像と実像』(草思社)など多数。
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