新・日本人のフロンティア (9)

戊辰戦争の「敗者」をたどって

執筆者:北岡伸一 2020年11月5日
カテゴリ: 社会 カルチャー 政治
エリア: アジア
戊辰戦争直後の会津若松城。この城を望みながら自決した白虎隊の悲劇は歴史に残る

 

 毎年夏の休暇には海外旅行をすることが多い。今年は新型コロナでどこにも行けないので、上越、東北方面に、5泊6日のドライブ旅行をした。最近、明治維新について書いたのだが(『明治維新の意味』新潮選書、2020年9月)、基本的に勝者の側を中央から見たものだったので、敗者の地も訪ねてみたくなったのである。

 その前提に、ごく簡単な大枠の事実経過を示しておきたい。

 鳥羽伏見の戦いが勃発したのが明治元年(慶應4=1968=年)1月3日、将軍徳川慶喜が大坂から船で江戸に戻ったのが12日、江戸城無血開城が4月11日だった。これに不満な彰義隊も、5月15日、新政府軍によって制圧された。

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執筆者プロフィール
北岡伸一(きたおかしんいち) 東京大学名誉教授。1948年、奈良県生まれ。東京大学法学部、同大学院法学政治学研究科博士課程修了(法学博士)。立教大学教授、東京大学教授、国連代表部次席代表、国際大学学長等を経て、2015年より国際協力機構(JICA)理事長、2022年4月よりJICA特別顧問。2011年紫綬褒章。著書に『清沢洌―日米関係への洞察』(サントリー学芸賞受賞)、『日米関係のリアリズム』(読売論壇賞受賞)、『自民党―政権党の38年』(吉野作造賞受賞)、『独立自尊―福沢諭吉の挑戦』、『国連の政治力学―日本はどこにいるのか』、『外交的思考』、『世界地図を読み直す』など。
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