ミャンマーは中国にとってインド洋への出口。地政学上の存在感は大きい(C)AFP=時事
ミャンマーで2月1日朝、国軍が起こしたアウンサンスーチー政権打倒のクーデターは単なる軍政への“先祖返り”とみるべきではない。軍政が世界からの批判、制裁を恐れずに強権的な行動に出たのは、米中冷戦が深刻化するなかで、中国陣営に加われば軍政国家でも十分生き残れるという判断があるからだ。米欧日などの制裁を受け、貿易や投資を絶たれても、中国主導の「一帯一路」沿線国家として成長できるとの読みだ。逆にミャンマー国軍の動きこそ、米中冷戦が東南アジアに構造として定着し始めたことを映し出している。タイのプラユット軍政などミャンマーに続き、中国陣営に踏み込む国が出てくる可能性は高い。アジアで「民主主義否定のドミノ」が始まった。

「フォーサイト」は、月額800円のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。
フォーサイト会員の方はここからログイン