“15年前後で「社会主義強国」を建設”という金正恩の「見果てぬ夢」(5・了)「白米と肉のスープ」は人民に届けられるのか

執筆者:平井久志 2021年5月29日
タグ: 北朝鮮 金正恩
エリア: アジア
今年1月~4月末までの、北朝鮮の政治的な行事(筆者作成)
祖父・金日成、父・金正日が果たせなかった「夢」。金正恩党総書記は、自らの手腕でそれを現実にすることができるのか。

 北朝鮮が1月に第8回党大会を開いた後、党中央委員会第8期第2回全員会議(総会)、党中央軍事委第8期第1回拡大会議、第1回市・郡党責任書記講習会、党第6回細胞書記大会、金日成・金正日主義青年同盟第10回大会などを開催してきた軌跡を振り返った。

 ここで浮かび上がるのは第一に、党大会で決定した「国家経済発展5カ年計画」の初年経済計画の履行に党指導部が強い危機感を持っていることだ。

 金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記は、第7回党大会で決定した「国家経済発展5カ年戦略」(2016年~20年)が「甚だしく未達成」に終わったことを認めて謝罪したが、同じ誤りを繰り返せないという危機感がある。

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執筆者プロフィール
平井久志(ひらいひさし) ジャーナリスト。1952年香川県生れ。75年早稲田大学法学部卒業、共同通信社に入社。外信部、ソウル支局長、北京特派員、編集委員兼論説委員などを経て2012年3月に定年退社。現在、共同通信客員論説委員。2002年、瀋陽事件報道で新聞協会賞受賞。同年、瀋陽事件や北朝鮮経済改革などの朝鮮問題報道でボーン・上田賞受賞。 著書に『ソウル打令―反日と嫌韓の谷間で―』『日韓子育て戦争―「虹」と「星」が架ける橋―』(共に徳間書店)、『コリア打令―あまりにダイナミックな韓国人の現住所―』(ビジネス社)、『なぜ北朝鮮は孤立するのか 金正日 破局へ向かう「先軍体制」』(新潮選書)『北朝鮮の指導体制と後継 金正日から金正恩へ』(岩波現代文庫)など。
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