医療崩壊
医療崩壊 (50)

「医師」以外は蚊帳の外:コロナ対策に「数学者」の研究成果を活用せよ

執筆者:上昌広 2021年6月4日
エリア: その他
バイデン政権の大統領科学顧問に就任したエリック・ランダー氏。同氏はヒトゲノム地図の作製に携わったことで知られている  ©︎EPA=時事
「専門家の意見」と菅首相は繰り返すが、医師と医系技官の間だけで決まる日本のコロナ対策には決定的な死角が生じている。情報工学の活用がないために、ゲノム解析からのアプローチや感染リスクのモデル研究がなおざりとなり、対策は世界とかけ離れた隘路に入ってしまった。

 新型コロナウイルス(以下、コロナ)対策で日本は一人負けだ。科学技術先進国で、世界に誇る医療システムを有する日本が、なぜ、こんな状態に甘んじるのか。私は、数学者を活用できていないからだと考えている。一体、どういうことだろうか。本稿では、日本のコロナ敗戦の真相をご紹介したい。

 日本のコロナ対策の特徴は、「お医者さん」が仕切っていることだ。医師がメンバーのほぼすべてを占めていた「新型コロナウイルス感染症対策専門家会議」が、経済学者なども含む「新型コロナウイルス感染症対策分科会」へと衣替えしても、その実態は変わらない。

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執筆者プロフィール
上昌広 特定非営利活動法人「医療ガバナンス研究所」理事長。 1968年生まれ、兵庫県出身。東京大学医学部医学科を卒業し、同大学大学院医学系研究科修了。東京都立駒込病院血液内科医員、虎の門病院血液科医員、国立がんセンター中央病院薬物療法部医員として造血器悪性腫瘍の臨床研究に従事し、2016年3月まで東京大学医科学研究所特任教授を務める。内科医(専門は血液・腫瘍内科学)。2005年10月より東京大学医科学研究所先端医療社会コミュニケーションシステムを主宰し、医療ガバナンスを研究している。医療関係者など約5万人が購読するメールマガジン「MRIC(医療ガバナンス学会)」の編集長も務め、積極的な情報発信を行っている。『復興は現場から動き出す 』(東洋経済新報社)、『日本の医療 崩壊を招いた構造と再生への提言 』(蕗書房 )、『日本の医療格差は9倍 医師不足の真実』(光文社新書)、『医療詐欺 「先端医療」と「新薬」は、まず疑うのが正しい』(講談社+α新書)、『病院は東京から破綻する 医師が「ゼロ」になる日 』(朝日新聞出版)など著書多数。
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