独裁と「経営不在」の歪んだ聖域  大学法人にメスは入るか

執筆者:磯山友幸 2021年7月30日
エリア: その他
国内の大学を選ばない高校生も増えてきた(写真はイメージ)
日本の大学の国際競争力低下が指摘されて久いが、その大きな理由にガバナンスの弱さが挙げられる。特に私立大学では理事会の有名無実化が放置され、理事長の“独裁化”も起きてきた。文科省が設置した「学校法人ガバナンス改革会議」と政府が立ち上げる10兆円規模の「大学ファンド」を大学再生の契機に活かせ。

 大学の地盤沈下に日本政府がようやく重い腰を上げ始めた。

 政府は日本の大学の国際競争力を強化することを目的に、2021年度中に10兆円規模の「大学ファンド(基金)」を立ち上げることを決め、現在、有識者会議で資金の運用方法や分配する大学の条件などを検討している。仮に3%の運用利回りを上げれば、年間3000億円規模の運用益が確保でき、それを原資に各大学に分配して研究支援を行う構想だ。2021年度中の運用開始を目指し、2023年度から利益分配を始める予定だ。

カテゴリ: 社会
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執筆者プロフィール
磯山友幸(いそやまともゆき) 1962年生れ。早稲田大学政治経済学部卒。87年日本経済新聞社に入社し、大阪証券部、東京証券部、「日経ビジネス」などで記者。その後、チューリヒ支局長、フランクフルト支局長、東京証券部次長、「日経ビジネス」副編集長、編集委員などを務める。現在はフリーの経済ジャーナリスト活動とともに、千葉商科大学教授も務める。著書に『2022年、「働き方」はこうなる』 (PHPビジネス新書)、『国際会計基準戦争 完結編』、『ブランド王国スイスの秘密』(以上、日経BP社)、共著に『株主の反乱』(日本経済新聞社)、『破天荒弁護士クボリ伝』(日経BP社)、編著書に『ビジネス弁護士大全』(日経BP社)、『「理」と「情」の狭間――大塚家具から考えるコーポレートガバナンス』(日経BP社)などがある。
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