自衛隊アフガン退避作戦「失敗」への7つの視点(下)

執筆者:鶴岡路人 2021年9月10日
エリア: アジア 中東 北米
自衛隊の1番機がカブールに到着した8月25日、記者会見に臨む菅首相 (C)時事
今回の「失敗」を総括して“次なる危機”に備えるためには、もちろん法改正や装備の充実も必要かもしれない。しかし忘れてはならないのは、本質の部分で“世界のなかでの日本”という国家の姿が問われているということだ。

 大使館やJICA(国際協力機構)勤務のアフガニスタン人関係者の退避にいたらなかった自衛隊のアフガニスタン派遣を、いかに総括し、今後につなげることができるのか。本稿(上)での3つを受け、残りの4つを順に検討していこう。

4・自衛隊法改正で解決するもの、しないもの|現実的な法解釈・運用の議論も欠かせない

 自衛隊の活動に関して、日本では、自衛隊法の条文やその解釈に関する問題に議論が集中する傾向がある。しかし、今回のアフガニスタン退避作戦に限らず、問題は自衛隊法以外にも複合的に存在する。政治の危機意識を高めたり、情報収集、評価の精度を上げること、さらには後述のように、現地職員の扱いを再検討するようなことは、自衛隊法改正ではどうにもならない。広い視野で取り組まなければならないゆえんである。

カテゴリ: 政治 軍事・防衛
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執筆者プロフィール
鶴岡路人 慶應義塾大学総合政策学部准教授。1975年東京生まれ。専門は現代欧州政治、国際安全保障など。慶應義塾大学法学部卒業後、同大学院法学研究科、米ジョージタウン大学を経て、英ロンドン大学キングス・カレッジで博士号取得(PhD in War Studies)。在ベルギー日本大使館専門調査員(NATO担当)、米ジャーマン・マーシャル基金(GMF)研究員、防衛省防衛研究所主任研究官、防衛省防衛政策局国際政策課部員、英王立防衛・安全保障研究所(RUSI)訪問研究員などを歴任。東京財団政策研究所主任研究員を兼務。著書に『EU離脱――イギリスとヨーロッパの地殻変動』(ちくま新書、2020年)など。
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