中東―危機の震源を読む (53)

対中東・イスラーム「オバマの言葉」の読みどころ

 米国新政権の最初の一区切りとして用いられる「就任後百日」が四月末に近づいた。この段階でオバマ政権の対中東および対イスラーム世界への政策がどのような形を取ってきているか検討してみたい。もちろん中東全体に対して、あるいは中東の諸問題に対して具体的な政策が出揃ったわけではなく、大統領の発言から方向性を推測するしかない。 ただし米国と中東の関係の課題は多分にイメージや感情に由来している。米政権の政策そのものの実態と成否だけでなく、「米国イメージ」や「反米感情」が対中東外交の障害となり、中東諸国の政治そのものにも深く影響を与えてしまう。そしてオバマがこの方面で持つ最大の「コンテンツ」はまさにオバマ自身のイメージであり言葉であるだけに、「オバマの言葉」の読みどころを知っておくのは有益だろう。

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執筆者プロフィール
池内恵(いけうちさとし) 東京大学先端科学技術研究センター グローバルセキュリティ・宗教分野教授。1973年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻博士課程単位取得退学。日本貿易振興機構アジア経済研究所研究員、国際日本文化研究センター准教授を経て、2008年10月より東京大学先端科学技術研究センター准教授、2018年10月より現職。著書に『現代アラブの社会思想』(講談社現代新書、2002年大佛次郎論壇賞)、『イスラーム世界の論じ方』(中央公論新社、2009年サントリー学芸賞)、『イスラーム国の衝撃』(文春新書)、『【中東大混迷を解く】 サイクス=ピコ協定 百年の呪縛』 (新潮選書)、 本誌連載をまとめた『中東 危機の震源を読む』(同)などがある。個人ブログ「中東・イスラーム学の風姿花伝」(http://ikeuchisatoshi.com/)。
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