プーチン政権は小麦を原油・天然ガスと並ぶ外貨獲得の柱に据えることに成功した(ロストフ州の農村を視察するプーチン氏=2015年) (C)AFP=時事
ロシアのウクライナ侵攻は原油、天然ガスから小麦、トウモロコシまで幅広い一次産品の価格高騰として世界経済を襲っている。ウクライナ危機が今後、数カ月以上長期化した場合、今年後半から世界とりわけ途上国は価格高騰だけでなく、食料不足に見舞われる恐れがある。ロシア、ウクライナが小麦、トウモロコシの大輸出国であることはよく知られているが、軍事衝突の舞台や後方地域がその基盤となる世界的な穀倉地帯であり、農地、出荷インフラがダメージを受ければ、輸出量が大きく落ち込むリスクがあるからだ。加えて、農業生産を支える化学肥料の3大要素のうち、カリはロシア、ベラルーシが世界輸出の40%を占める。カリ供給が止まれば、世界は化学肥料の不足と施肥量減少による農業生産の落ち込みに直撃されるだろう。ウクライナ侵攻は今世紀に入って最初の食糧危機に向かいつつある。
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