EU離脱後のイギリス 重層化する分断と試練

執筆者:今井貴子 2022年4月15日
エリア: ヨーロッパ
パーティ疑惑に揺れるジョンソン首相(C)EPA=時事
 
イギリスのEU完全離脱から1年余り。離脱派が期待していた「配当」は届かず、経済的対立が再燃し、そこへ燃料費の高騰が追い打ちをかける。世界を震撼させているウクライナ戦争がいっそう緊迫化するなか、国内で複雑に絡まる分断線を超えてかじ取りを行わなければならないジョンソン政権は、試練の時を迎えている。

 2020年1月にイギリスが欧州連合(EU)から正式に離脱して2年、移行期間終了からは1年余りが経った。

 離脱派が勝利した2016年の国民投票から完全離脱までの5年というもの、イギリスでは国論が離脱―残留で二分され、議会は機能不全に陥り、経済も打撃を受けたのだが、なんとか正式の離脱に漕ぎつけたことで、こうした事態には一応の決着がもたらされたのだろうか。 

 そして、ボリス・ジョンソン首相が謳いあげたように、イギリスは「グローバル・ブリテン」として新たな成功に向けて船出したのであろうか。

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カテゴリ: 政治 社会
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執筆者プロフィール
今井貴子(いまいたかこ) 成蹊大学法学部政治学科教授。専門はイギリス政治 、比較福祉政治、比較野党研究。2009年、東京大学大学院総合文化研究科博士課程単位取得退学。学術博士(東京大学)。​成蹊大学法学部助教、同准教授を経て、2012年より現職。2013年ケンブリッジ大学政治国際関係学部客員研究員。2014年欧州大学院ロベルト・シューマン・センター客員研究員。著書に『政権交代の政治力学ーイギリス労働党の軌跡 1994-2010 』(東京大学出版/2018年 櫻田会奨励賞)、共著に『ポピュリズムという挑戦ー岐路に立つ現代デモクラシー』 (岩波書店/2020年)、『現代政治のリーダーシップ 危機を生き抜いた8人の政治家』(岩波書店/2019年)、『教養としての政治学入門』(筑摩書房/2019年)がある。
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