西銘順治:沖縄の「保守」を体現する複雑な思想

執筆者:野添文彬 2022年6月19日
タグ: 日本 アメリカ
エリア: アジア 北米
78年の沖縄県知事選に勝利した西銘(C)時事
社会大衆党と沖縄自民党のいずれの結党にもかかわり、第3代知事として沖縄保守を体現するリーダーとなった西銘順治。その思想と行動はいかなるものだったのか。

 

「ヤマトンチューになり切れない心」

 「沖縄の心とは何か」という記者の質問に対し、第3代沖縄県知事の西銘(にしめ)順治(じゅんじ)が即座に答えたのが次の言葉である。

「それは、ヤマトンチュー(大和人)になりたくて、なり切れない心だろう」

 1985年7月20日の『朝日新聞』に掲載されたこの発言は、沖縄県内だけでなく全国的に大きな反響を呼び、沖縄県民の複雑なアイデンティティを表現した名言として今なお引用される¹

カテゴリ: 政治 軍事・防衛
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執筆者プロフィール
野添文彬(のぞえふみあき) 沖縄国際大学法学部 地域行政学科准教授。1984年生まれ。一橋大学経済学部卒業後、同大学大学院法学研究科博士課程修了。博士(法学)。専門は国際政治学、日本外交史、沖縄基地問題。主な著書に『沖縄返還後の日米安保: 米軍基地をめぐる相克』(吉川弘文館/2016年)、『沖縄米軍基地全史』(吉川弘文館/2020年)がある。
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