プーチン愛国主義を支える歴史教科書 

執筆者:西山美久 2022年6月20日
エリア: ヨーロッパ
5月9日の戦勝記念日に「無名戦士の墓」に献花をするプーチン大統領(C)EPA=時事
独ソ戦をナショナル・アイデンティティとするプーチンの愛国教育の現場では、どのような歴史が教えられているのか。3冊の歴史教科書から特徴的な記述を紹介する。

 ウラジーミル・プーチン大統領は国民の愛国心涵養のために歴史教育を重視している。 

 中でも、ロシアのナショナル・アイデンティティの中核をなす大祖国戦争(1941~45年の独ソ戦のロシアでの呼称)に対する思い入れは一段と強い。そのため、プーチン大統領はロシアの歴史認識を批判する近隣諸国を意識して、「西側がドイツへの融和を図ったミュンヘン協定が第2次世界大戦の原因だった」「ミュンヘン協定で孤立したソ連はドイツとの不可侵条約を結ぶしかなかった」などと独自の主張を展開している。 

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カテゴリ: 政治 社会
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執筆者プロフィール
西山美久(にしやまよしひさ) 北海道大学国際連携機構特任助教。九州大学大学院比較社会文化学府博士課程修了。筑紫女学園大学、長崎県立大学などで非常勤講師を務めたのち、2019年から現職。専門は現代ロシア政治。著書に『ロシアの愛国主義ープーチンが進める国民統合』(法政大学出版局、2018年)がある。
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