食糧危機はプーチンに時の利か――黒海封鎖という最強の武器

執筆者:杉田弘毅 2022年6月28日
エリア: ヨーロッパ
オデッサ港の穀物輸出ターミナル。サイロ(貯蔵庫)などの設備が見える。ウクライナは小麦の収穫期に入っているのだが、ターミナルは稼働していない @Adobe Stock
ウクライナが輸出できずにいる収穫済み穀物は2200万トンに上り、今夏の収穫でさらに5000万トンが加わる。アフリカ、中東、南インドなどの飢餓に直結する事態が進んでいるが、穀物輸出船用の人道海路設置などには多くの困難が伴うだろう。結局、兵器支援でロシア海軍を撃破することが「穀物輸出を再開する手っ取り早い方法だ」と、ウクライナのクレバ外相は語る。

 ウクライナ外相のドミトロ・クレバが6月中旬に米誌フォーリン・アフェアーズへの寄稿で嘆いた。

「アフリカ、アラブ、アジアの政府高官と話すと、最初は全面的な支持を表明してくれる。だがその後態度を変えて抵抗をやめたらどうかと促してくる。要するに皆ウクライナからの穀物を欲しいのだい」

 こんな話を聞くと「なんと弱腰な」とクレバに同情する。だが、パン不足が反政府暴動に直結する途上国政府からすれば、「戦争よりも穀物輸出を」という本音は切実だ。

この記事だけをYahoo!ニュースで読む>>
フォーサイト最新記事のお知らせを受け取れます。
執筆者プロフィール
杉田弘毅 共同通信社特別編集委員。1957年生まれ。一橋大学法学部を卒業後、共同通信社に入社。テヘラン支局長、ワシントン特派員、ワシントン支局長、編集委員室長、論説委員長などを経て現職。安倍ジャーナリスト・フェローシップ選考委員、東京-北京フォーラム実行委員、明治大学特任教授なども務める。多彩な言論活動で国際報道の質を高めてきたとして、2021年度日本記者クラブ賞を受賞。2021年、国際新聞編集者協会理事に就任。著書に『検証 非核の選択』(岩波書店)、『アメリカはなぜ変われるのか』(ちくま新書)、『入門 トランプ政権』(共同通信社)、『「ポスト・グローバル時代」の地政学』(新潮選書)、『アメリカの制裁外交』(岩波新書)など。
  • 24時間
  • 1週間
  • f
back to top