「ニクソン・ショック」の教訓:国際社会の激動を見誤る勿れ

執筆者:樋泉克夫 2022年8月12日
エリア: アジア 北米
ニクソン・ショックの二の舞とならないために(C)Solodov Aleksei/shutterstock.com
ペロシ米下院議長の台湾訪問によって米中関係に緊張が高まっているが、国際社会は激動だ。50年前の「ニクソン・ショック」で米中の急接近に意表を突かれた日本は、その苦い経験から教訓を学ぶ必要がある。

 

 8月1日のシンガポールを皮切りに、マレーシア、台湾、韓国、そして我国を訪問した4泊5日のナンシー・ペロシ米下院議長による「突風」のような歴訪が終わった。ハイライトである台湾訪問をめぐって、我国のメディアでも「習近平政権への痛撃」から「習政権の権力強化に追い風」まで、あるいは「台湾の人々の心に響いた」との大賞賛から「政治家として個人的なレガシー作りにすぎない」との冷笑気味の評価まで、じつに幅広い見解が喧々囂々と展開されている。

カテゴリ: 政治
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執筆者プロフィール
樋泉克夫(ひいずみかつお) 愛知県立大学名誉教授。1947年生れ。香港中文大学新亜研究所、中央大学大学院博士課程を経て、外務省専門調査員として在タイ日本大使館勤務(83―85年、88―92年)。98年から愛知県立大学教授を務め、2011年から2017年4月まで愛知大学教授。『「死体」が語る中国文化』(新潮選書)のほか、華僑・華人論、京劇史に関する著書・論文多数。
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