新・日本人のフロンティア (16)

インド洋での友好と連携を――マダガスカルとモーリシャス(上)

執筆者:北岡伸一 2022年8月23日
タグ: 日本
エリア: アジア アフリカ
JICA海外協力隊員が活動するマダガスカルの小学校を見学する筆者(JICA提供)
日露戦争以降は日本の軍事力の「西の限界」であり、現代では「インド太平洋戦略」を考える上で重要な拠点となるマダガスカルに、日本の支援の手が差し伸べられている。(後編はこちらから)

 5月20日から29日まで、アフリカのマダガスカルとモーリシャスに行った。

 マダガスカルには、前から行きたいと思っていて、2度計画したが、いずれも政情不安などの理由で中止になり、今回ようやく実現できた。

 

 マダガスカルはアフリカの南東部、390キロ沖にある大きな島である。面積は58万平方キロ、日本の1.6倍である。グリーンランド(218万平方キロ)、ニューギニア島(79万平方キロ)、ボルネオ島(74万平方キロ)に次ぎ、世界で4番目に大きな島である。ちなみに日本の本州は23万平方キロで第7位である。

 マダガスカルは、アフリカにあるが、アジアとの関係が深い。かつて地球上にゴンドワナ大陸というものがあり、それが2億年前から8500万年前にかけて徐々に分かれて、インド亜大陸、アフリカ大陸、南米大陸、南極大陸、オーストラリア大陸、マダガスカル、アラビア半島などになったといわれている。

ワオキツネザル(上)バオバブ(下)

 マダガスカルがゴンドワナ大陸から分かれた時期が早かったので、マダガスカルの動植物の85%が固有種である。珍獣が多く、キツネザルが有名である。逆にアフリカ大陸に多いキリン、象、ライオンなどの大型動物はいない。植物ではバオバブの木(アフリカ大陸にもあるが、マダガスカルが本場である)、旅人の木などが有名だ。上野動物園にはマダガスカルの動植物コーナーがあるほどで、私も何度か行ったことがある。

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執筆者プロフィール
北岡伸一(きたおかしんいち) 東京大学名誉教授。1948年、奈良県生まれ。東京大学法学部、同大学院法学政治学研究科博士課程修了(法学博士)。立教大学教授、東京大学教授、国連代表部次席代表、国際大学学長等を経て、2015年より国際協力機構(JICA)理事長、2022年4月よりJICA特別顧問。2011年紫綬褒章。著書に『清沢洌―日米関係への洞察』(サントリー学芸賞受賞)、『日米関係のリアリズム』(読売論壇賞受賞)、『自民党―政権党の38年』(吉野作造賞受賞)、『独立自尊―福沢諭吉の挑戦』、『国連の政治力学―日本はどこにいるのか』、『外交的思考』、『世界地図を読み直す』など。
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