5歳の少年を救った日本兵

執筆者:浜田哲二
執筆者:浜田律子
2022年10月16日
タグ: 日本
エリア: アジア
写真を手掛かりに沖縄で戦没した兵士の人生を辿る ©浜田哲二
沖縄の激戦地跡で20年以上、戦没者の遺骨収集を続ける元新聞記者同士の夫婦。ある日、彼らの元に「ある兵士の写真を遺族に返してほしい」という依頼が舞い込んだ。たった一枚の写真を手掛かりに、兵士の人生を辿る旅が始まる。沖縄と北海道を行き来して紡ぎ出したのは、戦争の計り知れない悲劇と、人生を懸けた愛の物語。(全4回)

 

「捕虜カード」と色褪せた兵士の写真

 この話は2年前、地方の新聞に載った一本の記事が始まりだった。

 沖縄戦の生き残りだった、同県読谷村の比嘉(ひが)カマドさん(享年64)が保管していた「捕虜カード」。当時の米軍が、捕らえた住民らの氏名や国籍などの人定事項を記載した資料で、捕虜が自ら持ち続けていた例は珍しいと、研究者らを驚かせている。カマドさんは52年前に死去しているが、一人息子の盛勝(せいしょう)さん(83)が、「激戦を生き抜いた母が残した記録」として、このほど報道関係者らに公開した――。

カテゴリ: 社会
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執筆者プロフィール
浜田哲二(はまだてつじ) 元朝日新聞カメラマン。1962年生まれ。2010年に退職後、青森県の白神山地の麓にある深浦町へ移住し、フリーランスで活動中。沖縄県で20年以上、遺骨収集を続けている。日本写真家協会(JPS)会員。著書に『ずっと、ずっと帰りを待っていました:「沖縄戦」指揮官と遺族の往復書簡』(新潮社)
執筆者プロフィール
浜田律子(はまだりつこ) 元読売新聞記者。1964年生まれ 奈良女子大学理学部生物学科・修士課程修了。著書に『ずっと、ずっと帰りを待っていました:「沖縄戦」指揮官と遺族の往復書簡』(新潮社)
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