
大道兵長の甥・岡澤利寿さん(右)と生前の鳴海美栄子さん(左) 岡澤利寿さん提供
小説のような人生
夫婦で取材をするようになった当初、夫が写真を撮り、私が記事を書く形で分業していた。でも最近は、お互いの領域にどんどん踏み込むことで、仕事を楽しむようにしている。哲二はカメラマンなので、何事にも感性を重視するきらいが。ゆえに、最後にまとめる作業は、私が冷静に取り組もうと心掛けてきた。にもかかわらず今回は、女としての感傷に揺さぶられる自分に戸惑っている。
その理由は、写真返還の活動中に登場した女性たちの存在。彼女らが果たした役割をもう少しきちんと解き明かしたい。甥の岡澤公久さんが話してくれた、「大道正公さんの遺影を届けた札幌の女性」が、どうしても心に引っ掛かるのだ。

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