
沖縄戦の遺族らと共に戦没者の名前を見つめる北海道沖縄会の黒田元会長(右から2人目) ©浜田哲二
「心の夫」のために貯めた3511万円
北海道沖縄会で会計を担当していた鳴海美栄子さんは、1円の誤りも許さない厳格な仕事ぶりで一部の会員からは煙たがられていた。亡くなった大道正公さんの甥っ子を実の息子のように可愛がった、という美栄子さんのイメージとは、正直ギャップがある。だが、彼女がそこまでお金にうるさかった理由は、今から十数年前、札幌市内の藻岩山にあった戦没者慰霊碑を移転する折に判明した。移転費用の捻出に頭を抱えていた役員らが、美栄子さんが残した1通の貯金通帳に気づく。確認したところ、3511万円の残高が記載されていた。

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