
電力施設の破壊が冬を迎えた市民生活に及ぼしているダメージは極めて大きい[ロシアのミサイル攻撃で切断された高圧送電線を修理する作業員=2022年12月7日、オデーサ近郊](C)AFP=時事
2022年2月24日にロシアがウクライナに侵攻して始まったロシア・ウクライナ戦争は、開戦から10カ月を経たが、終結の気配を全く見せることなく、2023年を迎えることとなった。特に、夏から秋にかけて行われたウクライナの大規模反攻が一段落してからは、天候の影響も受けて戦線が膠着した。最前線では戦線が膠着する一方で、ロシアによる電力施設への大規模な空爆が行われ、またウォロディミル・ゼレンスキー大統領の電撃的な米国訪問といった外交的な展開もあった。2022年終盤を振り返りながら、2023年の展望を論じてみる。
最前線の膠着と地球温暖化の影響
2022年の夏から秋にかけてのウクライナの反攻は世界を驚かせた。特に、南部へルソン地方にロシアの関心を引きつけておいての北部ハルキウ方面からの反攻(第2次ハルキウ反攻)は見事な成功を収め、ウクライナはハルキウ州の奪回に成功した。それに続いて南部ヘルソン地方でのロシア軍に対する圧力を強め、11月上旬にはヘルソン州の州都ヘルソンを含むドニプロ川西岸地方の奪回に成功した。
一方で、ロシア軍はドネツク州北部のバフムトに対する攻勢を継続している。ロシア側は9月下旬に招集を開始した動員兵を多数投入しているが、ウクライナ側も堅固な陣地を構築して迎え撃っており、壮絶な消耗戦になっている。

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