日本が韓国の安全保障能力から学ぶべきこと

Foresight World Watcher's 5Tips

執筆者:フォーサイト編集部 2023年8月4日
タグ: 韓国 日本 自衛隊
エリア: アジア 北米
韓米合同軍事訓練で編隊を組んで飛行する韓国軍の無人機[2023年5月25日、韓国・京畿道抱川郡](C)AFP=時事

 今週もお疲れ様でした。米「ウォー・オン・ザ・ロックス(WOTR)」に掲載された自衛隊一等陸尉・平尾眞一氏の論稿は、韓国の軍事ドクトリンと対照させながら日本の安全保障能力構築の課題を示す内容です。日韓(そしておそらく日台もでしょう)の安保対話が抱える課題と今後の目指すべき方向性は、日本のメディアがもっと力を関心を深めるべきテーマではないかと考えます。

 フォーサイト編集部が週末に熟読したい記事、皆様もよろしければご一緒に。

 

JAPAN’S COUNTERSTRIKE: LEARN FROM SOUTH KOREA【War on the Rocks/Shinichi Hirao/8月2日付】

「北朝鮮のミサイルと指揮統制施設を抑止する反撃システムへの投資について、日本の防衛実務者が韓国に学ぶときだ」

 このような提言が、軍事・安全保障分野分野を専門とするオンラインメディアである米「ウォー・オン・ザ・ロックス(WOTR)」に8月2日付で登場した。「日本の反撃 韓国に学べ」とストレートに題された論稿の内容は、筆者個人の見解であって彼の所属する組織とは無関係だと断られているものの、その筆者である平尾眞一は現役の自衛隊一等陸尉だ。

「日本と韓国は歴史的に険悪な関係にあった。しかし、両国は最近、協力を強化しており、北朝鮮問題での協働について関心を共有している」として平尾は、日韓米の間での情報共有の深化に向けた合意(今年6月)を「よい第一歩」、日本による反撃能力開発の意向表明(昨年12月)を「もうひとつのよいステップ」と評価。そのうえで、冒頭に引用した提言に踏み込んでいる。

「深刻な北朝鮮の軍事的圧力に直面する韓国は、抑止ドクトリンの面で日本より進んでいる。韓国は隣国よりずはるかに早くからミサイル能力を模索し始め、1978年にはペッコム(白熊)ミサイルの発射に成功した。今日、韓国はキルチェーン、韓国型ミサイル防衛[KAMD]、大量反撃報復概念からなる3軸体系を開発済みだ」
「この3軸体系は、北朝鮮に対する韓国の抑止力の中核をなすもので、地域的危機に対する米国の対応が遅れたり、北朝鮮の攻撃の後になったりするのではないかという韓国の懸念もあって開発された」
「北朝鮮のミサイル戦力が拡大する今日、米国は韓国の防衛力増強を歓迎している。米国また2021年に韓国との間のミサイル制限協定[米韓ミサイル指針]を撤廃し、これは3軸体制の強化につながっている」

 一方、最近になって北朝鮮のミサイル攻撃を念頭においた反撃能力の獲得を打ち出した日本は「まだ2つの課題に直面している」と平尾は懸念し、次のように指摘。……

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