ドイツ極右に接近する中国

Foresight World Watcher's 5Tips

執筆者:フォーサイト編集部 2023年10月6日
AfDの台頭は中国にとって「真のチャンス」との指摘も(C)nitpicker / shutterstock.com

 今週もお疲れ様でした。世界の多極化・無極化が進む(いいや、そうではない、という論考を先週の本欄でご紹介しましたが……)のと軌を一にして、各国内政もまた冷戦時代からの「保守 vs 革新」の対立軸が細分化・無効化されつつあります。政党間の多数派工作がイデオロギーより優先されれば、極右と左派の接近も珍しいものではなくなるでしょう。ドイツで極右政党AfDの支持率が上昇していることは注目のテーマですが、そのAfDの政治家たちに中国の影響力工作が及んでいると米FP誌が伝えています。

 フォーサイト編集部が週末に熟読したい記事、皆様もよろしければご一緒に。

A surge in global bond yields threatens trouble【Economist/10月4日付】

Five lessons from today’s bond market turmoil【Gillian Tett/Financial Times/10月6日付】

「債券利回りはこれまで――ここ数週間で――急速に上昇し、多くの市場関係者が低金利時代は終わったと考えるようになった。8月上旬以降、米国の10年債利回りは4%を超える水準で取引されており、これは2008年から21年まで見られなかった水準だ。10月3日には16年ぶりの高水準となる4.8%を記録し、これは2週間で0.5ポイント上昇したことを意味する。こうした動きはグローバルに波及しており、欧州では債務国イタリアに、そして超低金利の岩に指先でしがみついてる日本に、財政危機をもたらす可能性がある」

 英「エコノミスト」誌は10月4日付の「世界規模での債券利回りの急上昇で危機発生のおそれ」(雑誌版のタイトルは「一度にすべて(All at once)」)の冒頭で、このような警告を打ち出した。

 記事は、米国債のイールドを上昇させているさまざまな要因を並べたうえで、その影響が米国外にもたらす影響について次のように書いている。

「原因が何であれ、米国の債券市場の動きは世界のペースを左右する。米国の金利上昇はドルを押し上げ、他国の中央銀行に、輸入品の価格上昇によるインフレを避けるための金融引き締めを促す傾向がある」
「こうした波及効果を反映して、経済の状況は[米国とは]異なっているにもかかわらず、ユーロ圏の金利もここ数週間で上昇している」
「金利の上昇は、ユーロ圏で最も大きな負債を抱える国の財政の持続可能性についての懸念を呼び起こした。イタリアの10年債利回りは現在4.9%で、ユーロ圏の債務危機が猛威を振るった2012年以来の高水準にある。これは、急速な経済成長や緊縮財政なしには、イタリアの財政が長く耐えられない水準だ」
「しかし、利回り上昇の最も劇的な直接的影響については、日本を見よ。日銀は異例なことに、インフレ率が上昇しているにもかかわらず、金利をマイナス0.1%に維持している。[中略]また、10年債利回りの上限を7月、0.5%から1%に引き上げた。9月29日には、利回りが0.8%に近づいたため、上限を守るために予定外の3010億円(20億ドル)の国債購入を発表した。[中略]10月3日、円相場が1ドル=150円まで上昇した後、147円まで急反落したため、当局が円買い介入を行ったのではないかという噂が流れた。[中略]長い低金利の時代が本当に終わったのだとすれば、金融市場では今後数カ月のうちに、ルビコン川を渡る動きがさらに増えるかもしれない」

 追加の国債購入を迫る長期金利の上昇や市場介入が必要となる急かつ大幅な円安を……

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カテゴリ: 政治 経済・ビジネス
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