Weekly北朝鮮『労働新聞』 (68)

中止も再開も国民には一切知らされない「汚物風船」(2024年6月2日~6月8日)

執筆者:礒﨑敦仁 2024年6月10日
タグ: 北朝鮮 韓国
エリア: アジア
汚物風船は、韓国側から北朝鮮に向けて体制非難ビラなどが飛ばされていることへの「対応措置」だという[風船でばら撒かれたゴミを回収する韓国軍兵士=2024年6月2日、仁川・韓国](C)EPA=時事
6月2日に北朝鮮の金強一国防次官が談話を発表、韓国に向けた「汚物風船」散布の暫定中止を宣言したものの、8日には散布を再開した。『労働新聞』紙面には連日、韓国政府への非難記事が躍るが、汚物風船については今まで一切報じていない。【『労働新聞』注目記事を毎週解読】
 

 6月2日付は、金正恩(キム・ジョンウン)総書記が朝鮮労働党中央幹部学校の開校式に出席して記念の辞を述べ、講義を参観したと報じた。金正恩は3月30日に中央幹部学校の建設現場を訪れて現地指導したほか、5月15日にも現地指導を実施、21日には竣工式に出席して演説を行い、22日には建設に携わった軍人や竣工式に参加した芸能人らと記念写真を撮っており、『労働新聞』はそのたびに大きく報じている。同校に対する最高指導者の思い入れは顕著である。

カテゴリ: 政治
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執筆者プロフィール
礒﨑敦仁(いそざきあつひと) 慶應義塾大学教授。専門は北朝鮮政治。1975年生まれ。慶應義塾大学商学部中退。韓国・ソウル大学大学院博士課程に留学。在中国日本国大使館専門調査員、外務省第三国際情報官室専門分析員、警察大学校専門講師、米国・ジョージワシントン大学客員研究員、ウッドロー・ウィルソンセンター客員研究員など歴任。著書に『北朝鮮と観光』(毎日新聞出版)、共著に『最新版北朝鮮入門』(東洋経済新報社)など。
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