相次ぐ航空機トラブルの陰に「空の2030年問題」 人手不足でも“憧れの職業”パイロットを増やせない理由

IN-DEPTH【ニュースの深層】

執筆者:戸崎肇 2024年7月29日
エリア: アジア
日本の「空」の行く末は……(C)新潮社
航空業界の人員不足は相次ぐ航空機トラブルとも無縁ではない。特に懸念されるのが、大量のパイロットが定年を迎える「2030年問題」だ。既存の対策は一長一短、抜本的な解決の糸口が見つからない。憧れだったはずの職業が大きな岐路に立たされている。

 コロナ禍の収束によって、世界の移動需要、特に観光需要は急激に回復し、以前の状態をもしのぐ勢いで伸びている。その結果、世界の主要観光地ではオーバーツーリズムが発生し、対策が急がれる事態となっている。

 中でも航空業界では供給体制の拡大に追われ、人手不足の問題が深刻化した。航空機の運航に欠かせないパイロット、整備士、キャビン・アテンダント(CA)などである。

 このうち、日本で特に問題となっているのがパイロット不足である。バブル期に採用・育成したパイロットが2030年前後に大量に定年を迎える、いわゆる「2030年問題」が差し迫っているのだ。これによる欠員をどう補充するかが喫緊の課題になっているのだが、決して簡単な問題ではない。「日本の空」で今何が起こっているのか。

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カテゴリ: 社会
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執筆者プロフィール
戸崎肇(とざきはじめ) 桜美林大学航空マネジメント学群教授。1963年生まれ。京都大学経済学部卒。日本航空での勤務を経て、帝京大学、明治大学、早稲田大学、東京都立大学などで教鞭をとり、2019年より現職。著書に『ビジネスジェットから見る現代航空政策論』(晃洋書房/2021年)、『観光立国論 交通政策から見た観光大国への論点』(現代書館/2017年)など。
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