「今週のトランプ」ラウンドアップ (1)

トランプ大統領の発言とアクション(2025年3月13日~19日):鉄鋼・アルミ関税など経済的混乱は短期間と予想も、FRBに利下げ要請

執筆者:安田佐和子 2025年3月21日
エリア: 北米
ルッテNATO事務総長(左)との会談でも関税政策を維持する姿勢を強調した[2025年3月13日、アメリカ・ワシントンD.C.](C)AFP=時事/GETTY IMAGES NORTH AMERICA
トランプ大統領と政権キーパーソンから飛び出した1週間分の発言を、ストリート・インサイツ代表取締役・安田佐和子氏がマーケットへの影響を中心に詳細解説。

 ドナルド・トランプ大統領は3月13日、北大西洋条約機構(NATO)のマルク・ルッテ事務総長と会談し、12日に発動した鉄鋼・アルミ関税25%をめぐり、譲歩しない立場を強調した。一方で、19日には米連邦公開市場委員会(FOMC)がフェデラル・ファンド(FF)金利誘導目標を4.25―4.5%に据え置いた後、4月2日に相互関税の発動を控え、トランプ氏は「利下げすべき」と主張。原油価格が値下がりすれば直ちに利下げを要求する、と1月23日に発言していた流れを引き継いだ格好だ。経済的な混乱は一時的と予想しながらも、ホワイトハウスが掲げた優先課題のひとつが「生活費の引き下げ」であるだけに、金利引き下げを狙った発言と考えられよう。

 スコット・ベッセント財務長官は2月6日に、自身とトランプ氏は利下げを要請するものではなく、米10年債利回りの低下を望んでいるという姿勢を打ち出したが、トランプ氏はあらためて利下げを求めた格好だ。もっとも、トランプ氏が実際に利下げ圧力を高めたかは、判然としない。2024年11月の米大統領選で民主党のカマラ・ハリス候補が敗北した一因には、バイデン前政権下のインフレ昂進が挙げられるため、関税によるインフレ再燃の火種を蒔くとは考えづらい。

 トランプ1期目を振り返ると、米連邦準備制度理事会(FRB)が利下げしたのは、2018年にトランプ政権(当時)が3月に鉄鋼・アルミ追加関税を、同年7月に対中追加関税を発動してから約1年経過した2019年7月であり、

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カテゴリ: 政治 経済・ビジネス
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執筆者プロフィール
安田佐和子(やすださわこ) ストリート・インサイツ代表取締役、経済アナリスト 世界各国の中銀政策およびマクロ経済担当の為替ライターの経験を経て、2005年からニューヨークに拠点を移し、金融・経済の最前線、ウォール街で取材活動に従事するかたわら、自身のブログ「My Big Apple NY」で現地ならではの情報も配信。2015年に帰国、三井物産戦略研究所にて北米経済担当の研究員、双日総合研究所で米国政治経済や経済安全保障などの上級主任/研究員を経て、株式会社ストリート・インサイツを設立。その他、トレーダムにて為替アンバサダー、計量サステナビリティ学機構にて第三者委員会委員、日本貴金属マーケット協会のフェローを務める。
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